I.集計結果と時系列検討 – 2.身体障害者福祉法関連事項
以下の集計における比率はいずれもサンプル数650を基準にしている。
現在施行されている身体障害者福祉法のオストメイトに対する適用状況とその生活への影響等を調査し、現行法の助成措置が不可欠である実態及び法改正による強化検討のデータを探る事とした。
(1) 身体障害者手帳給付状況
毎回関心を持って調査している項目であるが、次表に前回までの調査結果と対比して示す。身体障害者手帳の交付をうけている会員が年々増加していることがわかる。
手帳をもらっている | もらっていない | 無回答 | |
---|---|---|---|
今回(平成15年) | 96.3 | 3.5 | 0.2 |
第4回(平成14年) | 95.5 | 4.1 | 0.4 |
第3回(平成11年) | 94.1 | 5.3 | 0.5 |
第2回(平成8年) | 87.4 | 6.3 | 6.3 |
(2) 身体障害者手帳の級数
手帳をもらっている人全体では、4級が84.3%、3級が8.0%、2級が1.5%、1級が1.4%で、これらの結果は前回と大差はない。
ストーマ種類別で見ると、人工肛門・人工膀胱保有者が4級と3級に大別されるが、前回に比べ3級が17.4%減少し、4級が16.8%増加しているが、理由は不明である。
4級 | 3級 | 2級 | 1級 | 無回答 | |
---|---|---|---|---|---|
全体 | 84.3 | 8.0 | 1.5 | 1.4 | 4.8 |
コロストミー | 86.2 | 5.4 | 1.5 | 1.5 | 5.4 |
イレオストミー | 81.5 | 11.1 | 3.7 | – | 3.7 |
ウロストミー | 90.3 | 6.5 | – | – | 3.2 |
人肛・人膀 | 56.3 | 31.3 | – | 9.4 | 3.1 |
(3) 補装具交付券の給付状況
次表に見るように、交付券を「もらっている」人の比率が今回の調査では6.3%減少し、「もらっていない」人が3.5%増加している。これは、経済情勢が厳しいため、交付券の給付が厳格になって来ているものと思われる。
手帳をもらっている | もらっていない | 無回答 | |
---|---|---|---|
今回(平成15年) | 74.3 | 21.2 | 4.5 |
第4回(平成14年) | 80.6 | 17.7 | 1.7 |
第3回(平成11年) | 72.7 | 25.9 | 1.4 |
第2回(平成8年) | 62.9 | 35.0 | 2.1 |
(4) 一ヶ月にかかるストーマ用具の経費
補装具を含めたストーマ用品全体で、一ヶ月にどのくらい生活上の負担を強いられているかを見たものである。
コロストミー | イレオストミー | ウロストミー | 人肛・人膀 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
全くかからない | 4.9 | 3.7 | 9.7 | 12.5 | 7.1 |
かかる | 81.4 | 92.5 | 87.2 | 81.4 | 87.2 |
5千円未満 | 15.8 | 11.1 | 14.0 | 21.9 | 15.4 |
5~10千円未満 | 39.4 | 29.6 | 14.0 | 18.8 | 31.8 |
10~15千円未満 | 20.2 | 33.3 | 44.1 | 9.4 | 24.2 |
15~20千円未満 | 7.6 | 7.4 | 9.7 | 9.4 | 8.3 |
20~25千円未満 | 3.9 | 11.1 | 1.1 | 6.3 | 4.0 |
25千円以上 | 3.0 | – | 4.3 | 15.6 | 3.5 |
無回答 | 5.2 | 3.7 | 3.2 | 6.3 | 5.7 |
経費が「かかる」と答えた人は、前回の89.0%に対し今回は87.2%とほぼ横ばいとなっており、金額は5千円以上10千円未満が31.8%、1万円以上1万5千円未満が24.2%となり全体の56%になっている。
「全くかからない」と答えた人は、前回の5.3%に対して、今回は4.9%となっているが、 「全くかからない」と言う事は考えられないので、勘違いをしていると思われる。
ストーマの種類別では、コロストミーの人が、5千円以上10千円未満が39.4%、1万円以上1万5千円未満が20.2%となり全体の59.4%になっている。
イレオストミーの人は、5千円以上10千円未満が29.6%、1万円以上1万5千円未満が33.3%となり全体の62.9%になっている。
ウロストミーの人は、1万円以上1万5千円未満が44.1%、5千円以上10千円未満と10千円以上1万5千円未満がそれぞれ14%となり、全体の72.1%になっている。
人肛・人膀の人は、2万円以上2万5千円未満が21.9%、5千円以上10千円未満が18.8%という低負担額の層と2万5千円以上が15.6%という高負担額の層とにわかれている。@>
(5) 交付券での不足の有無
補装具の費用がかかるとした人に対し、自治体から交付される補装具交付券で足りているか否かを聞いた。その結果、「交付券だけでは間に合わない」とする人が67.8%と7割近くなっている。
ストーマ別に見ると、コロストミーでは「間に合わない」人が68.5%に対して、イレオストミーでは78.1%と最も多く、ウロストミーでも66.7%となっている。
コロストミー | イレオストミー | ウロストミー | 人肛・人膀 | 合計 | |
間に合っている | 31.6 | 21.7 | 33.3 | 45.8 | 32.0 |
間に合っていない | 68.5 | 78.1 | 66.7 | 54.2 | 67.8 |
2千円未満 | 16.0 | 26.1 | 21.3 | 12.5 | 16.6 |
2~3千円未満 | 14.7 | 4.3 | 14.7 | 20.8 | 15.4 |
3~4千円未満 | 8.5 | 13.0 | 10.7 | 4.2 | 8.6 |
4~6千円未満 | 10.7 | 8.7 | 5.3 | 4.2 | 8.8 |
6~8千円未満 | 5.2 | 4.3 | 4.0 | – | 5.1 |
8~10千円未満 | 5.2 | 4.3 | 2.7 | 4.2 | 4.7 |
10~15千円未満 | 4.6 | 8.7 | 4.0 | 8.3 | 5.1 |
8~10千円未満 | 3.6 | 8.7 | 4.0 | – | 3.5 |
不足金額では、2千円未満で16.6%、2千円から3千円未満で15.4%の人が不足するとしている。
ストーマ別に見ると、どのストーマの種類でも不足額3千円未満が全体の約3割を占めているが、コロストミー、ウロストミーでは負担額が上がると徐々に割合が減るのに対し、イレオストミー、人肛・人膀では不足額10千円以上の層で割合が大きくなっている。