オストメイトの災害対策
災害が発生した時の対策については、自分の身は自分で守る「自助」が一番重要で、次に自分たちの地域や仲間を自分たちで守る「共助」、そして市町村や消防・警察・自衛隊等が行う「公助」があります。
私達オストメイトの災害対策については、ストーマ装具の確保や排泄やストーマ装具交換のスペース確保等のオストメイト固有の災害対策もこれらの対策に織り込む必要があります。
1.災害に備える
自分や家族の生命と財産を守るために、災害に対する日常的な備えや、災害時の対応を各自で行ってください。(自助)
【具体的な備えについて】
- 食料、飲料水の備蓄
- トイレットペーパー、常備薬などの日用品の備蓄
- 自宅の耐震化、耐火性の確保
- 家具、テレビ、蛍光灯などの転倒、落下、移動防止
- 災害用簡易トイレの備蓄
- 家族同士で災害時の安否確認の伝達手段の取り決めや集合場所・避難場所の確認
- 避難場所・避難経路、ハザードマップの確認
- 沿岸地域では津波避難MAPで、浸水予測エリア、避難場所、避難経路を確認
- 非常持出袋の準備・内容の定期的点検と交換
- 懐中電灯・スリッパ・ホイッスルの備えおき
- 日頃から近所付き合い(声掛け)を大事に、地域の避難訓練等には積極的に参加する
- 避難所への避難に当たり、自ら避難所への避難が困難な方は、市町村の避難行動要支援者として登録が可能
【オストメイトの備えについて】
- オストメイトカード(参考例はこちらから)、障害者手帳を常時保持してください。
(オストメイトカードには全項目をあらかじめ記入しておいてください) - ストーマ装具・ストーマ用品は常に余裕をもって保管してください。必ず1年に1回は、新しいものと交換してください。
- 非常持出袋には、避難所でのストーマ装具交換に必要な、2週間から4週間分のストーマ装具・ストーマ用品、ゴミ袋等を入れてください。
- 注1:災害時には「水」が使えないことが多くあり、水を使用しない皮膚洗浄剤を利用した装具交換が出来るようにしてください。
- 注2:同様に、洗腸している人は、自然排便でも排泄が出来るように、また非常持出にはストーマ装具・ストーマ用品を準備してください。
- 注3:ストーマ装具の面板は、予め使用サイズに穴あけしておいてください。
- 非常持出袋の他に、被災時(例:家屋倒壊)でも取り出し可能な自宅内外の別場所に、災害用のストーマ装具、ストーマ用品を分散保管してください。
- 分散保管の場所として一部の区市町村では、公共施設に個人使用のストーマ装具・ストーマ用品を保管場所として提供されていまのすので、対象市町村にお住いの方は、活用ください。
(対象地域か、或いは具体的な利用方法は,入会の支部にお問いあわせください) - 避難所の環境を調べておきましょう
トイレの環境、装具交換のためのスペース等、避難所の環境を事前に確認し、整っていない時には他の避難所への変更等、市町村担当部門と相談しましょう。
2.避難行動について
日頃から避難行動をイメージしておけば、いざという時にもスムーズな行動出来ます。慌てず、落ち着いて行動してください。
地震では、机の下に身を隠す等身の安全を確保し、余震や散乱物に注意し避難が必要であれば避難してください。
津波情報が発令された時は、急いで海岸線を離れ高台に避難してください。
風水害による避難では気象情報や市町村の避難情報を把握して、夜間を避け早めの避難をしてください。
避難所は市町村の情報に基づき避難してください。
【オストメイトの避難行動について】
避難に当たっては、ストーマ装具やストーマ用品の入った非常持出袋を必ず所持する。
3.避難生活について
避難された方は、避難所のルールやマナーを守り、互いに助け合いながらの生活を心掛けて下さい。
避難所ではストレスや感染症等に気を付け、健康維持に努めて下さい。
健康がすぐれない時は、避難所の保健婦や医療者に相談しましょう。
【オストメイトの避難生活について】
- 避難所では施設管理者にオストメイトであることを告げ、使用トイレへの配慮や生活相談支援職員等の支援スタッフあるいは医療関係者に対して、援護してもらいたい旨を早めに申し出ておきましょう
- 災害時には、孤立を防ぐ横の連絡が大事と言われています。相互の連絡により、安否確
認、励まし合い、情報交換、装具の融通など支え合いましょう。また、いざという時に助け合うことができる仲間の輪を広げておきましょう - 避難生活に必要なストーマ装具・ストーマ用品について
避難所へストーマ装具を持ち出せなかった場合、あるいは手持ちのストーマ装具(公共施設に保管のストーマ装具を含む)等が不足する状況に対し、下記のような方法でストーマ装具等の受取が可能です。
区分 オストメイト災害救助の概要 共助 【ストーマ用品セーフティーネット連絡会(OAS)が行う、緊急時のストーマ用品無料提供】
災害救助法適用の市町村内被災ストーマ保有者で、家屋の倒壊等によりストーマ用品の持出しや、入手が困難なストーマ保有者、並びに入手が困難な避難所、病院等を対象に、災害発生から約1ヶ月間において、OAS各社の販売するストーマ用品を、地域のストーマ装具販売店通じて無料提供される。
注:ストーマ用品セーフティーネット連絡会(OAS)は、日本国内のストーマ用品メーカーによって結成された団体。
本無料提供の詳細については、ストーマ用品セーフティーネット連絡会「災害対応手引き」を参照ください公助 【市町村によるストーマ装具等の備蓄】
市町村が標準的なストーマ用品を備蓄し、災害時にストーマ用品の持出しや、入手が困難なストーマ保有者に対し備蓄のストーマ用品が提供される。(提供されるストーマ装具等は標準品で、オストメイトが日常使用のストーマ装具と異なる場合があります)
尚、お住いの市町村がスーマ装具等の備蓄を行っているかどうかは、支部またはお住いの市町村にお問合せください
【市町村とストーマ装具販売店の間の物資供給協定】
市町村が地元の複数のストーマ販売会社と、災害時の物資供給協定を締結し、災害時にストーマ装具等の持出しや、入手が困難な避難所のストーマ保有者の要望を市町村が取り纏め、ストーマ販売店に供給を依頼し、市町村が供給を受けたストーマ装具等を避難所のオストメイトに届けるもの。
尚、お住いの市町村がスーマ装具等の物資供給協定をストーマ販売会社と行っているかどうかは、支部またはお住いの市町村にお問合せください
4.避難所におけるオストメイトトイレについて
避難所におけるトイレ環境は東日本大震災の反省点として近年、ガイドラインの見直し等が進み、環境改善が期待されます。
上記ガイドラインでは、障害者トイレを一般トイレとは別に確保することが織り込まれていて、市町村でも災害用の障害者トイレの備蓄が進んでいると思われます。
このため、オストメイトの装具交換スペース確保を図るためにも、障害者トイレの利用を予め了解を取るなどで、オストメイトのトイレ環境の改善を図る必要があります。