ストーマ種類別の特徴

コロストミーの特徴

ガス

手術後しばらく、ガスがよく出るかもしれません。これは腸の治る過程で、通常の食事に戻っていくときにみられます。ガスが余り出ないように、口を閉じてよく噛んでリラックスして楽しく食事をしましょう。

通常の食事に戻ってからは、炭酸飲料やチューイングガムはほどほどにしましょう。ガスが多くなる食物(きゅうり、キャベツ、ブロッコリ、たまねぎ、魚、乾燥豆など)もあります。野菜や甘いものを食べ過ぎるとガスが多くなります。便秘のときや洗腸法がうまくいかないときもガスが増えます。もし、ガスが多いことで困るようでしたら、食事内容やそれらの調理方法を書き出してみましょう。それによって何が原因かがつかめるでしょう。また、不意に大きな音のガスが出そうになったときは、パウチの上からストーマを手で押さえるようにするとよいでしょう。

臭い

便の臭いを強くする食物(たまねぎ、豆、きゃべつ、ブロッコリ、卵、魚など)があります。また、ビタミン剤や抗生剤など臭いが増すことも考えられます。出かけたり、人と会ったりする予定があるときは、それらの食べ物を控えたり、消臭剤を使うことで臭いを半減することもできます。

便秘、下痢

便秘や下痢はバランスの悪い食事や内服薬などによって起こります。ストーマ手術をする前から便秘傾向のある人は、以前どうだったか思い出してみるとよいでしょう。医師に相談なく下剤を飲むことは避けましょう。また、下痢の場合も食事内容や飲んだ薬などを思い出し、医師に相談しましょう。

肛門の感覚

肛門の切除後に肛門から便が出そうに感じたり、違和感を感じたりすることは、四肢を切断した後の幻肢痛と似ています。人によって差はありますが、手術後しばらくの間起こることがあります。便が出る気がしたら、排便するようにトイレに座っていると落ち着くこともあるようです。

ストーマ旁ヘルニア

ストーマ旁ヘルニアはコロストミー手術のあと、最も多い問題です。手術直後は重い物を持ち上げることは避けましょう。手術後の活動については医師のアドバイスを受けましょう。ストーマ旁ヘルニアは、腹直筋を通る適切なストーマの位置決めによって予防することができます。

医療機関を受診すべき状態

このような症状があるときは医療機関を受診しましょう。

  • 激しい腹痛が2~3時間以上続く
  • いつもと違う便臭が1週間以上続く
  • いつもと違うストーマサイズや、形状が続く
  • ストーマの脱出を伴う/伴わない閉塞
  • ストーマからの大量出血、また中等量のパウチ内への貯留が数回続く
  • ストーマの損傷、カット
  • ストーマと皮膚の境目からの持続する出血
  • 水様便が5~6時間以上続く
  • 慢性的な皮膚障害
  • ストーマの狭窄(狭くなること)
  • 漏れがないのに、装具が2~3日持たない
入院時のヒント

入院するときは、装具を多めに持っていきましょう。入院する病院にストーマ装具がないかもしれないからです。また、入院時には、ストーマの種類、肛門を切除したかどうか、ストーマ装具交換の手順と方法など、自分のストーマ情報を担当の看護師に説明しましょう。

<イレオストミー>

イレオストミーは、回腸に造られたストーマです。回腸は小腸の一部です。大腸や直腸、肛門の切除術を受けて造設されるイレオストミーは永久的ストーマです。大腸は全摘しますが、肛門を残すことができ、肛門に小腸で造った袋を縫いつける手術を受けた場合、一時的ストーマを造設し、数ヶ月後に閉鎖術を受けます。イレオストミーからは水様便が出ます。術後6~8週間でストーマのむくみが取れ、一定の大きさになります。

イレオストミーは一般的にお腹の右側に造られます。ストーマを見たとき、赤く見えるのは回腸の内側の粘膜です。小腸の主な働きは、栄養と水分の吸収です。消化酵素により食物が、吸収されやすい大きさの蛋白質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラルに分解されます。この消化酵素がいったん皮膚につくと、皮膚のただれの原因になります。そのため、装具をしっかり貼って皮膚を保護することが必要です。

イレオストミーから排泄される便は、水分やミネラル吸収をする大腸を経由しないで出るので水様から泥状で、量は食べた量や、内服薬、疾患にもよりますが、1日5~8回はトイレでパウチから出します。

装具は、ストーマ周囲腹壁に密着する面板と、パウチはドレインパウチを使って管理します。ウロストミー用パウチのようなチューブ型もあります。

面板の穴あけで注意したいことは、ストーマの直径にぴったりの穴あけにすることです。隙間は1mmくらいにとどめましょう。特に手術後6~8週間はストーマのむくみが取れ、直径が変化するので、1週間毎にストーマの直径を確認し、面板の穴の大きさを調整しましょう。

パウチに1/3ほど便が溜まったらトイレでパウチを空にすると、漏れやパウチの膨張を防げます。ベルトをつけると、便の溜まったパウチの重みをベルトで支えることができ、かつ面板の粘着の補助にもなります。

装具交換をする時間帯を食事前や食後2時間以上過ぎてからにすると、便が出てこなくて交換しやすいでしょう。

イレオストミーの特徴

ストーマ周囲皮膚の保護

イレオストミーから出る便が触れると皮膚は容易にただれてしまいます。このようにただれのおそれが大きいストーマ周囲の皮膚であっても、体のほかの部分の皮膚と同じように健康に保ちましょう。

ケアのポイント
  • 適切なサイズ、種類、そして穴あけの装具を使いましょう。穴あけが小さすぎるとストーマを傷つけてしまいます。大き過ぎると露出した皮膚がただれてしまいます。適切な穴あけの面板を使いましょう。
  • かゆみやひりひり感は装具交換のサインです。定期的に装具交換し、漏れや皮膚トラブルを防ぎましょう。必要に応じて凸型面板で便の漏れを防ぐこともできます。
  • 面板を剥がすときには、面板を引っ張らず、粘着面から皮膚を押し戻すようにします。
  • ストーマ周囲皮膚を石鹸清拭/洗浄します。石鹸分をよく泡立てて洗い、石鹸分を残さないように流します。水分を拭き取ります。皮膚の弱い方は、石鹸は弱酸性のものを使いましょう。
  • 使用している装具に対して過敏反応がないか皮膚を観察します。反応は数週間後、数ヶ月後、数年後に起こることもあります。
  • ストーマ周囲皮膚のムダ毛ははさみか電気カミソリでカットしましょう。
  • いったんストーマ周囲皮膚が赤くなったり、痛かったり、じくじくしたりすると装具が貼れなくなってしまします。そうなる前に、おかしいなと思ったらストーマ外来などで相談しましょう。また、広範囲の皮膚がただれたり、傷が深かったりするときはすぐに医療機関を受診しましょう。
閉塞/フードブロッケージ

ストーマから4~6時間、何も出ず、腹痛や吐き気が伴う場合、小腸が閉塞しているかもしれません。閉塞は部分的で水分は通るかもしれません。いずれにせよ、主治医に相談しましょう。ストーマがむくむようなら、むくみが取れるまで面板の穴あけをストーマに合わせて大きくしましょう。湯船につかると腹筋がリラックスするかもしれません。また、ときどき体位を変えるのもいいでしょう。たとえば、膝を胸につけるように抱えてみたりすると、つかえている食物の塊が出るかもしれません。便が出ないからといって、自分の判断で下剤を飲んではいけません。もし、食物の塊が出ないようなら、救急外来に行きましょう。閉塞は繊維が豊富な食物(海藻、きのこ、パイナップル、ナッツ、ココナッツ、コーンなど)や、腸の癒着が原因となります。

下痢

下痢が起こると、水分や電解質が吸収される前に腸の内容物が排泄されてしまうので、水分や電解質の吸収が阻害されてしまいます。脱水症や電解質異常になる前に

水分や電解質を補うことが重要です。お腹が緩くなるのは、食物によることが多く一時的です。例として、生の果物や野菜、牛乳、フルーツジュース、プルーンジュース、そして汚染された水などです。精神的なストレスも下痢を招きます。イレオストミーの人の中には、いつも水様便が出ていて、これが普通という人もいます。下痢かどうか見分けるには、排泄量を測ることです。1日800~1000ccが通常のイレオストミーからの排泄量です。

下痢は、大量の水様便であるほかに、急に起こり腹痛を伴う特徴があります。また、腹痛や吐き気を伴うお腹にくる風邪、抗生物質やペニシリンなどの医薬品でも下痢になります。臭い便、腹痛、勢いのある排泄、腹鳴などがみられる閉塞も下痢の原因です。このようなときは医療機関の受診を考えましょう。

下痢になったら主治医に相談しましょう。処方された薬を飲み、スポーツ飲料やみそ汁の上澄みなどで水分や電解質を補いましょう。下痢が治まるまで水分の補給を続けます。

電解質バランス

体の電解質バランス(特にカリウムとナトリウム)は大切です。大腸切除後は、電解質異常のリスクが大きくなります。下痢、多量の発汗や嘔吐により電解質異常のリスクが高まります。カリウムとナトリウムを多く含む飲食物を摂ることが大切です。

のどの渇き、口渇、尿量減少、そして倦怠感といった症状を伴う下痢は珍しくありません。スポーツ飲料など、カリウムやナトリウムの豊富な飲料を摂りましょう。砂糖が多い飲料は浸透圧性下痢を招くので避けましょう。1日コップ8~10杯の飲料を飲みましょう。食欲不振、眠気、足がつることはナトリウム不足かもしれません。倦怠感、筋力低下、浅い呼吸はカリウム不足かもしれません。

短腸症候群

短腸症候群は、クローン病や小腸の疾患で、小腸のかなりの部分の切除後に起きます。小腸の吸収機能の多くが失われる点でこの症状は特に注意する必要があります。短腸症候群の人は医師の指示に従いましょう。通常の生活を送ることができますが、適切な栄養状態を維持し、下痢しないようにし、医療機関にすぐ連絡できるようにしておきましょう。小腸が短ければ短いほど排泄は水様になります。水様性排泄物で皮膚保護剤も溶けやすく装具交換も早くなるでしょう。このような場合、大量水様性排泄用のパウチを使うこともできます。

医療機関を受診すべき状態

下記のような場合は医療機関を受診しましょう。

  • 腹痛が2~3時間続く
  • 吐き気と嘔吐が続く
  • 排泄が4~6時間なく、腹痛と吐き気を伴う
  • 激しい水様性排泄が5~6時間続く
  • 臭いが強い排泄(感染)
  • ストーマの深い傷
  • ストーマ周囲皮膚の重篤なただれや深い潰瘍
  • ストーマからの出血の増強(またはパウチ内に貯留し数回開けた)
  • ストーマと皮膚の境目からの持続する出血
  • ストーマサイズ(脱出、狭窄)や色の異常な変化
入院時のヒント

入院するときは、装具を多めに持っていきましょう。入院する病院にストーマ装具がないかもしれないからです。また、入院時には、ストーマの種類、肛門を切除しているかどうか、ストーマ装具交換の手順と物品、そして避けるべき処置(下剤の服用、ストーマや肛門からの浣腸、肛門での検温)など、自分のストーマ情報を担当の看護師に説明しましょう。

<ウロストミー>

膀胱を切除したあと、腎臓で造られた尿を体外に出すために造られるのがウロストミーです。回腸導管は回腸の一部を、尿を通す導管として使った手術で、一見消化管ストーマのようですが、尿が出てきます。尿管皮膚瘻は、腎臓と膀胱をつなぐ尿管を、直接皮膚に縫い付けた手術で、左右両側のストーマの場合と、片側の場合があります。

回腸導管は一般的にお腹の右側に造られます。回腸の一部に、尿管を縫いつけて一端は閉じ、反対側はお腹に縫いつけられます。そのため、イレオストミーのように見えるストーマからは尿が出てきます。導管となった回腸からは粘液も出るので、パウチに溜まった尿に粘液が混じっています。

尿管は左右それぞれの腎臓から尿を流す管なので、尿管皮膚瘻の場合、左右両側に尿管が縫いつけられる場合と、2つの尿管を集めて片側に造られる場合とがあります。尿管は直径が数mmなので、ストーマ径も1cm前後となります。尿管が縫いつけられた皮膚部分や、尿管の途中が狭くなると尿が出なくなるので、管が留置されることがあります。

 

装具はストーマ周囲皮膚に密着する面板と、ウロストミー用に尿タップが付いているパウチを使います。面板の穴あけは、ストーマサイズにぴったりにしましょう。隙間は1mm以内にとどめましょう。尿管皮膚瘻は、ストーマの高さ(突出度)が平坦か数mmのため、面板と皮膚の間に尿がしみこむことがあります。凸型面板を用いるとよいので、ET/WOCナースやストーマ外来で相談しましょう。

ウロストミー用パウチには、逆流防止弁があります。これは、パウチ内に溜まった尿がストーマにかからないようにするためです。ストーマに管が入っている場合は、管の先が溜まった尿に浸らないように、逆流防止弁内に留まるように気をつけましょう。

装具を交換する時間帯は、起床後すぐや、飲食後2時間以上経過し、排尿が少ないときを選びます。座位または立位で、ストーマがよく見える姿勢で交換します。交換中、尿が滴るので、ロールガーゼを準備してストーマに当て、尿を吸いとりながらスキンケアや装具装着をするとよいでしょう。

パウチ内を空にする間隔は2~4時間おきくらいですが、飲水量が多ければもう少し短くなります。小児のパウチは容量が小さいので、大人より間隔が短くなるかもしれません。パウチ内に1/3から1/2くらい尿が溜まったら空にするようにしましょう。尿の重さを支えたり、面板の粘着を安定させるため、ストーマ用ベルトを使うこともできます。

就寝時に夜間蓄尿用バッグをパウチに接続すると、パウチ内の尿が蓄尿用バッグに流れ、トイレに行かなくてもパウチを空にすることができ、睡眠の妨げにならないでしょう。蓄尿用バッグには1~2ℓ貯めることができます。蓄尿用バッグの洗浄は、酢水(酢1:水3)を接続チューブから流すとよいでしょう。

ウロストミーの特徴

ストーマ周囲の皮膚保護
  • 面板は、ストーマに合った適切な穴あけにします
  • 装具は、漏れたり皮膚障害が起きる前に定期的に交換します。痒みやひりひりした感じは尿が皮膚についているサインです。
  • 交換するときは、皮膚保護剤を優しく剥がしましょう。面板を引っ張るのではなく、面板から皮膚を剥がすように押しましょう。
  • 石鹸清拭または洗浄しましょう。石鹸分を皮膚に残さないようにしましょう。皮膚の弱い方は、石鹸は弱酸性のものを使いましょう。
尿のpHバランス

尿のpHは酸性かアルカリ性の度数で表されます。食べた物が体内で燃焼し、“灰分”と呼ばれるミネラルの残渣が産出されます。燃焼した食べた物がおおよそ酸性イオンかアルカリ性イオンを含んでいたかによって、この灰分が酸性かアルカリ性かが決まります。

果物や野菜の大部分がアルカリ性の灰分を産生し、尿をアルカリ性にします。肉やシリアルはたいてい酸性の灰分を産生し、尿を酸性にします。

通常、尿は酸性に保たれています。尿を酸性に保つために、飲水量を1日コップ8~10杯に増やしましょう。尿をアルカリ性にするオレンジジュースや他の柑橘系果物ジュースの代わりに、クランベリージュースを飲んだり、ビタミンCを摂ったりするのもよいでしょう。酸性の灰分を産生する食べ物は、肉、パンやシリアル、チーズ、コーン、クランベリー、卵、マカロニ、ナッツ、パスタ、プルーン、魚や鶏肉です。

皮膚障害の予防

皮膚障害は皮膚保護剤をしっかりストーマ周囲皮膚に密着させることで防げます。そのため、皮膚障害の始まりに気づき対処することが大切です。もし、発赤、痛み、じくじくが数日たっても治まらない場合は、ストーマ外来に相談しましょう。大切なのは、皮膚保護剤をきちんと貼って、十分な飲水を保ち、適切なスキンケアをすることです。

尿中結石成分の付着

ストーマや周囲皮膚に付着する尿中結石成分は、アルカリ性の尿が原因です。結石は、白く、ざらざらしています。正しい洗浄、尿の酸性化、注意深く面板を貼ることが結石の付着を防ぎます。付着した結石を減らすために、装具交換毎に数分間、お酢の湿布をするとよいでしょう。湿布に用いる酢水は、酢と水を1:1で混ぜて作ります。面板を剥がして石鹸清拭したあと、酢水で湿らせたガーゼや布をストーマを含む周囲皮膚に当てます。尿がしみてくるので、酢水ガーゼは2~3回取り換え、5分前後湿布するようにします。その後、皮膚を清拭し装具を装着します。

医療機関を受診するとき
  • ストーマの深い傷
  • ストーマからの出血(パウチがいっぱいになるような出血)
  • ストーマと皮膚の境目からの持続する出血
  • 重篤な皮膚障害や潰瘍
  • 異常なストーマサイズや色の変化
  • 発熱や尿臭の増強
入院時のヒント

入院するときは、装具を多めに持っていきましょう。入院する病院にストーマ装具がないかもしれないからです。また、入院時には、ストーマの種類、ストーマ管理の方法と製品について、自分のストーマ情報を担当の看護師に説明しましょう。そして、尿検査をするときはパウチ内の尿ではなく、ストーマから採取するように伝えましょう。

監修:皮膚・排泄ケア認定看護師