公益社団法人日本オストミー協会 Japan Ostomy Association, Inc. (JOA)

オストメイトの災害対策

災害は忘れた頃にやってくる

震災・風水害など災害への対策は十分ですか。災害時のオストメイトにとってストーマ装具の身近な確保は何よりも大切なことです。
オストメイトの災害対策としては、次のようなことが考えられます。

自助 自宅に装具を保管し、災害発生に備えて用意周到に準備を進めておく。災害時の避難には装具を持ち出し、避難所では十分に注意してトラブルを未然に防ぐ。
共助 日頃からオストメイト仲間との連絡網を作り、いざという時の助け合いの輪を広げて災害時に支えあう。災害発生時の(公社)日本オストミー協会への一報も役に立つ。
公助 災害時における装具販売店からのストーマ装具の緊急輸送、避難所でのストーマ装具支給、ストーマ外来の緊急対応など。

まずは周到な用意を

避難時に持出す装具の用意

  1. 日常の交換・装着のために保管している装具とは別に、避難時の『手持ち用装具』として、ストーマ用品・小物類も必要最小限含めて2週間分(災害時に日常使用している装具が入手できるまでの安全確保に要する日数)をまとめておく。手持ち用装具は、「小さなバッグ」に入れておくと使い勝手や持ち運び・保管の面で便利である。
  2. 衣服のポケットなどに入れて肌身から離さず所持する『緊急用装具』として、ツーピースのフランジ(面板)1~2枚と複数のストーマ袋、またはワンピース2枚程度のほか、予備のクリップやストーマ用品・小物類を必要最小限含めてまとめておく。緊急用装具は、「チャック付き収納袋」に入れておくとポケットなどに収まりやすい。
  3. 皮膚保護剤の面板は、ストーマのサイズに合わせて穴をあけ、すぐ装着できるようにしておくと緊急時に役に立つ。
  4. イレオストミー(回腸人工肛門)の人は勿論のことコロストミー(結腸人工肛門)の人は、ドレーナブル・ストーマ袋(下部開放型)を入れておく。ストーマ袋交換の手間が省けるので、避難所などの不便な場所では都合がよい。
(注)
  1. ストーマ用品は、ストーマ装具の装着時に、皮膚の保護・排泄物の漏れ防止・皮膚への装具密着などのために使用する各種用品をいい、補正用皮膚保護剤、コンベックス・インサート(凸型リング)、固定用ベルト、皮膚被膜剤、剥離剤、皮膚保護剤穴あけ用はさみ、サージカルテープ、消臭剤、ストーマ袋カバーなどがある。このほかに、レッグバッグ(下肢装着用蓄尿袋)、ナイト・ドレーナージバッグ(夜間用蓄尿袋)も含まれる。
  2. 小物類は、ストーマ装具の装着時に使用するものをいい、皮膚を清拭するための物品、メジャーリングガイドなど型紙、ティッシュペーパー、ウェットティシュ、タオル、ビニール袋、ボールペンなどのほか、ウロストミー(人工膀胱)の人が使うロールガーゼ、紙おむつ・生理用ナプキンや使用済み装具を捨てる時に入れるゴミ袋がある。

洗腸している人の注意

  1. 災害時は、上水道の破損や避難先での洗腸場所の確保が困難などで、洗腸に適さない状況になるといわれている。このため、洗腸している人は、自然排便に頼らざるを得ないと思われるので、面倒でも普段から自然排便法にも慣れるようにしておく。
  2. 自然排便の場合は、当然のことながら自然排便用の装具を用意しておかなければならない。

災害へ備えるポイント

持出す装具の保管方法

  1. 『手持ち用装具』は、非常持出用としてすぐ持ち出すことができる安全な場所に保管する。できれば複数箇所に分散しておくとよい。装具の耐用年数は2年程度と考えて、中身は早めの1年ごとに交換する。
  2. 『緊急用装具』は、すぐ身に着けられるような場所に置く。中身は時々交換する。
  3. ウロストミー(人工膀胱)の人は、レッグバッグ(下肢装着用蓄尿袋)、ナイト・ドレナージバッグ(夜間用蓄尿袋)も『手持ち用装具』として保管しておく。
  4. 自己導尿の人はカテーテルを忘れずに。

緊急連絡用の携帯メモを作る

  1. 災害時の緊急連絡用として、携帯メモを要領よくまとめておく。携帯メモには、日常使用している装具の商品名や装具購入先など緊急連絡先の電話番号を記載する。商品名は、商品の箱などに掲載されているメーカーの表示を参考にして記入する。この場合、装具の変更が生じることも考慮して鉛筆書きとするのがよい。
    区 分 項 目 記載事項
    ストーマの種別・
    サイズ
    ストーマの種別 コロストミー・イレオストミー・ウロストミーの別
    ストーマのサイズ
    (単位:mm)
    縦 横 高さの測定値
    日常使用している
    装具の商品名
    ツーピースのフランジ(面板)・ストーマ袋
    ワンピース
    ストーマ用品
    メーカー名
    製品名
    サイズ
    注文番号
    緊急連絡先 装具購入先 補装具販売店名
    電話番号
    装具メーカー相談窓口 装具メーカー名
    電話番号
    市町村の役所 役所名
    電話番号
    受診している
    ストーマ外来
    病院名
    電話番号
    (公社)日本オストミー協会
    問合せ窓口
    支部名
    電話番号
    (注)
    1. 使用したことのある商品名も記入しておくと、緊急時の品切れのときに役に立つ。
    2. 装具に変更を生じたときは、記載内容の訂正を忘れずに。
  2. 携帯メモは、『手持ち用装具』および『緊急用装具』と一緒にしておく。
  3. 装具購入先・市町村役所の電話番号は、携帯電話にも登録しておく。

災害発生時の行動について

避難する時には

  1. 『緊急用装具』は、身体障害者手帳などと一緒に衣服のポケットなどに入れて肌身から離さず所持する。
  2. 『手持ち用装具』は、避難所へ持ち出して身近に置いておく。携帯電話・充電器、懐中電灯、ペットボトルなどその他の非常用物品と一緒に『非常持ち出し袋』(リュック・サック)に詰め込むのがよい。

特に注意すべき点

  1. 避難しない場合でも、念のため『手持ち用装具』を確認し、『緊急用装具』を衣服のポケットなどに入れて肌身から離さず所持する。
  2. 水分補給は大切なので十分に摂取する。特にウロストミーには欠かせない。普段からペットボトルなどを常備して避難所へ持ち出す。

装具の緊急調達

  1. 装具を持ち出せなかった場合、あるいは手持ち分が残り少なくなった時は、避難所で災害時救援物資指定の「ストーマ装具」支給を申請して受け取る。ただし、一部の地方自治体では、ストーマ装具の支給体制が整っていないところがある。
  2. 受け取れる装具は、日常使用しているものとは限らないので、入手できるもので間に合わせるしかない。
  3. 電話が復旧した時点で、補装具販売店へ連絡して日常使用している装具を届けてもらう。補装具販売店と連絡が取れないときは、装具メーカーの相談窓口へ連絡する。
(注)
  1. (公社)日本オストミー協会では緊急対策として、オストメイトや施設から依頼のあった装具を、補装具販売店から災害時緊急輸送物資として配達できるように手配する。また同時に、日本ストーマ用品協会に対して、補装具販売店への各種装具の緊急配送を依頼する。
  2. 災害時に供給される皮膚保護剤の面板は、フリーカットタイプが多くなるので、面板に穴をあける「ストーマ用のはさみ」とサイズの型紙が必要となる。手持ち用装具と一緒に持ち出すこと。

オストメイト仲間と連絡を

  1. 災害時には、孤立を防ぐ横の連絡が大事といわれている。相互の連絡により、安否確認、励まし合い、情報交換、装具の融通など支えあうことで安心が得られる。
  2. (公社)日本オストミー協会には組織的な連絡網があり、相談支援のほか状況把握に基づいて関係方面に救援を依頼することができる。

外出時の災害対策も忘れずに

  1. 外出先や勤務先で通常所持している『外出用装具』は、出先での災害の遭遇も考慮に入れて、避難時の『手持ち用装具』と同様に、ストーマ用品・小物類も必要最小限含めて常時2週間分を保有しておくと安全の確保につながる。
  2. 『緊急用装具』も衣服のポケットなどに入れて、肌身から離さず所持する。なお、『緊急用装具』は災害時だけでなく、普段のちょっとした外出に携帯すればトラブル発生の時に役立つほか、『外出用装具』を紛失したときのアクシデントにも緊急対応できるので、肌身離さず所持する習慣を身につけておきたい。
  3. 上記の『外出用装具』は、自宅では避難時非常持出しの『手持ち用装具』とは別の場所に置いておくことで、分散保管の安全性を高めることになる。

その他の留意事項

  1. 普段から市町村役所が定めている自宅近くの『避難所』を確認しておく。
  2. 災害発生時における家族との連絡方法を決めておく。災害用伝言ダイヤル『171』(局番なし)の使用方法を覚えておくと、災害時の電話がつながらないときに役立つ。
  3. 近所の人達との付き合いを大切にする。
  4. 防災訓練などへ参加して、予備知識を高めておく。
  5. 家具類の転倒防止対策を行う。できれば家屋の耐震補強を行う。